2 研究・開発の実際
(1)サン・アースくんの特徴と実行画面
@ サン・アースくんの特徴
・ 地軸の傾きを変化させることができる(現実の世界では起こり得ない現象のシミュレーション)。
・ 現在、過去、未来の世界中の昼の長さ・夜の長さ、日の出・日の入りの時刻、南中時刻・南中高度等の値を表示することができる。
・ 地球の軌道が楕円の場合と円の場合など離心率を自由に変化させることができ、楕円軌道効果を調べることができる。
・ 南中時の太陽の位置・地軸の方向・北極星を表示することができ、太陽の通る道や昼夜の長さなど直感的に理解することができる。
・ 入力した緯度、経度の位置を世界地図に表すことができる。
・ 地名をクリックすることにより、緯度、経度の値を入力することができる。
・ 世界地図をクリックすることにより、緯度、経度の値を入力することができる。
・ 1年間分のデータをまとめて計算し、その結果をデータ表示画面に出力することが可能である。
・ 計算結果をCSV形式のファイルに保存できるので、出力されたデータは他の表計算ソフトでも読み込み可能である。また、html形式で保存することも可能である。
A 実行画面
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(2) 機能の追加
@ 他の計算方法と比較し、計算の精度を上げる。
計算精度を上げるために、「サン・アースくん」のパラメータを少し調整した。この結果と、「マイコン宇宙講座」中野主一 著のプログラムから計算した結果と比較した。(表1)東京における1800年から2900年までの日の出、日の入りについての計算結果を比較した結果、日の出、日の入りの時刻に関しては、過去から未来に渡って1100年間、1分程度の違いが出てくることもあるが、ほぼ一致していることが分かった。
表1 東京における日の出、日の入りについての計算結果比較
年 月 日 |
サン・アースくん計算結果 |
「マイコン宇宙講座」中野主一計算結果 |
||
日の出の時刻 |
日の入りの時刻 |
日の出の時刻 |
日の入りの時刻 | |
1800年1月1日 |
6:51 |
16:38 |
6:51 |
16:38 |
1900年2月1日 |
6:42 |
17:07 |
6:42 |
17:08 |
2000年3月1日 |
6:11 |
17:36 |
6:11 |
17:36 |
2100年4月1日 |
5:28 |
18:02 |
5:28 |
18:02 |
2200年5月1日 |
4:50 |
18:27 |
4:50 |
18:27 |
2300年6月1日 |
4:27 |
18:50 |
4:28 |
18:51 |
2400年7月1日 |
4:30 |
19:00 |
4:30 |
19:01 |
2500年8月1日 |
4:49 |
18:45 |
4:50 |
18:46 |
2600年9月1日 |
5:13 |
18:10 |
5:14 |
18:10 |
2700年10月1日 |
5:35 |
15:27 |
5:36 |
15:27 |
2800年11月1日 |
6:04 |
16:45 |
6:03 |
16:46 |
2900年12月1日 |
6:33 |
16:28 |
6:31 |
16:27 |
A 太陽の周りを地球が公転する図を追加する。
B 地球を外から見た図を追加する。
C 地球が自転している様子を表示する。
ABCについては図1のような「地球の外から見た図」を追加した。この、図を追加することにより、地球の外から、観測でき、生徒たちは地動説的立場から考察することができるようになる。
「地球の公転軌道図」は地球が公転しているようすと、春分、秋分、夏至、冬至の位置の表示より季節を知ることができる。
「公転面の真横(秋分)から見た図」は、地球を拡大して見ることができ、地軸の傾きや、自転位置をはっきりと確認できる。
「地軸の真上から見た図」は「公転面の真横(秋分)から見た図」では表示できない、裏側も見ることができ、昼夜の長さの正確な理解に役立つ。
また、観測位置が回転するアニメーションを加えることによって、自転位置が把握しやすくなった。また、「地軸の真上から見た図」と「公転面の真横(秋分)から見た図」の対応がつきやすくなった。
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図1 地球の外から見た図 |
(3) ホームページとの連携
現在、「サン・アースくん」のホームページを作成し、下記のURLで開発経過や結果を公開している(図2)。公開することで、利用者の意見を取り入れていくことができる。
http://www.saga-ed.jp/workshop/edq01460/a-su/index.html
「サン・アースくん」のホームページには「説明書」,「バージョン情報&ダウンロード」等もあり、「サン・アースくん」の設定や使用方法を見ることができる。また、「計算結果(データ)」,「開発・研究」,「授業活用」もあり、研究や授業に活用するときの参考になる資料等も公開をしている。また、「メール」も公開しており、利用者からの要望を受けることができる。
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図2 「サン・アースくん」のホームページ |
@ ホームページに「サン・アースくん」の計算結果を載せ、数値的なデータ(昼夜の長さ、南中高度、南中時刻等)を提供する。
「サン・アースくん」のホームページの「計算結果(データ)」に世界や日本の各地の昼夜の長さ、南中高度、南中時刻等の計算結果を公開している(図3)。授業中に曇りや雨で観測できなかったときや、他の地域のデータが必要になったときに役立つならば幸いである。
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図3 世界や日本の各地の昼夜の長さ、南中高度、南中時刻等の計算結果 |
A 「サン・アースくん」にwebカメラの画像を表示する機能をつけ、日の出や日の入りのようすが観測できるようにする。
「サン・アースくん」は、正確な計算結果やわかりやすい図などを表示することはできるが、実際に観測した結果などは表示できない。そのような意味からも、観測した日の出や日の入りの時刻や写真を表示することができる「ライブカメラ」は是非付けたい機能の1つであった。
「サン・アースくん」のメニューの「関連Webページ」の中に「ライブカメラ」の項目を追加した。この「ライブカメラ」はWebカメラで撮影した写真をホームページで見ることができる。
「ライブカメラ」には2つのページがある。1つはトップページ(図4)で、5分ごとにリアルタイムな新しい写真に切り替わる。年月日、時刻等も写真の下段に表示されるので、大まかな日の出の時刻や位置を知ることができる。
2つめは「ライブカメラ記録」のボタンを押すと表示される1時間ごとの記録写真のページ(図5)である。毎日1時間ごとの記録写真が1ヶ月間分掲載される。これを1年間分記録し観察してみると、昼夜の長さが変化していくようすが1目でわかる。
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図4 「ライブカメラ」のトップページ |
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図5 「ライブカメラ記録」のページ |
(4) 授業との関連
@ 理科での「サン・アースくん」の活用方法(指導案等)を収集する。
「サン・アースくん」のホームページの「授業活用」のコーナーに「サン・アースくんの授業活用のアイデア」と「サン・アースくんの授業活用事例」を掲載した。
中学校理科での活用
鹿島市立東部中学校 山田 洋
沼津市立第五中学校 田尻勇次 先生
と中学校理科での活用の可能性1,2を掲載している。
A 理科以外での他教科での活用事例を収集し、検討する。
中学校社会科 地理的分野での可能性1を掲載している。
B 授業に使いやすい機能を検討する。
電子メールで世界地図を大きくしてほしいという要望があった。検討中である。