地軸の傾きを自由に変化させることができるシミュレーションソフト「サン・アースくん」の開発

山田 洋


要 約 

 従来、中学校理科の天体の単元で、昼夜の長さの季節変化を教えるときには、地球のモデルとして地球儀を使い、地球の外から見るという立場から地軸の傾きと昼夜の長さの関係を説明してきた。しかし、生徒の思考過程を考えると、急に視点を地球上から地球の外に移して考えることは生徒にとっては難しいことである。また、地球儀でのモデルでは、昼夜の長さの正確な値が出せず必ずしも生徒の観察記録と直接結びつけられるものではなかった。実際の観察記録を基にして地軸の傾きと昼夜の長さの関係を理解させようとするとき、経験上従来用いてきた地球儀だけでは不足であった。
 そこで、これらの問題点を改善するために、観察記録と直接結びつけることができ、地軸の傾きを自由に変化させることによって、現実の世界では起こり得ない現象をシミュレートすることができるシミュレーションソフト「サン・アースくん」を開発することにした。シミュレーションソフトを利用すると「視覚的に理解しやすい。」「数値も正確に出すことができる。」「処理が早い。」などの利点があり、抽象的な概念も理解しやすくなり、正確な値が出てくるので、観察記録結果とも容易に比較できるようになる。また、処理速度も速いので、生徒の思考の中断もなくなると考える。
「サン・アースくん」の開発に当たっては、天動説的な見方や、地動説的な見方の両方ができるようにした。また、生徒自ら操作できるように入力を工夫し、学習効果をみながら、バージョンアップを行った。


勤 務 先
鹿島市立東部中学校

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