7 サン・アースくんの教育利用について
(1) 理科 天体の学習での利用  

a 昼の長さ夜の長さ、南中高度の季節変化

 季節によって昼の長さ・夜の長さ及び南中高度がなぜ変化するかを調べる学習で、地軸の傾きを0度にした場合と、23.4度にした場合を月日を変化させて比較します。

(@) 地球の外から見た場合
 冬至における比較 

地軸の傾き=0度の場合 地軸の傾き=23.4度の場合

「公転面の真横(秋分)から見た図」や「地軸の真上から見た図」を比較することにより、地軸の傾きによって昼夜の長さに違いが出てくることが一目で分かります。
 緑の線は観測者の自転の軌跡を描いたものですが、その長さは、昼夜の長さに比例しています。
 冬至においては、地軸が傾かない場合、昼も夜も半分ずつで、昼夜の長さには違いが出てきません。
 地軸を傾けた場合、昼は短く、夜は長くなります。これは現実にあっています。このことから、昼の長さ・夜の長さが変化する原因は地軸の傾きであることを理解することができます。

 また、赤道は地軸が傾いていないときも、傾いているときもいつも昼夜の長さは半分ずつであることも分かります。


(A) 地球上から見た場合
 冬至における比較

 地軸の傾き=0度の場合

 地軸の傾きが0度の場合は観測点−太陽を結ぶ線と、地軸の方向を結ぶ線は垂直になります。すなわち、太陽は観測点を中心にした円上を動くことになり、昼の長さと夜の長さは同じ長さになります。(ただし、数値で表した昼の長さと夜の長さが一致しないのは、日の出、日の入りの定義と、大気の屈折の効果により、昼の長さが長くなっているからです。)

 地軸の傾き=23.4度の場合

 地軸が傾くと、その分、太陽が動く円の中心は南の方にずれて、昼の長さ夜の長さに変化が現れます。冬至では夜の長さが長くなります。これにより、昼の長さ・夜の長さが変化する原因は地軸の傾きであることを理解することができます。
 また、地軸の傾きを0度にし、月日を変化させても、南中高度は変化しません。23.4度にすると変化することから、南中高度の変化の原因は地軸の傾きであることが分かります。

 このように、シミュレーションをしながら昼夜の長さの変化や、南中高度の変化の原因を探ることができます。

b 気温の変化と南中高度の関係

 気温データとパソコンから出てくる南中高度の値の関係を調べることによって、気温の変化は南中高度の変化に対応していることがわかります。南中高度が変わるとなぜ気温が変化するかの導入として利用できます。(南中高度のピークと平均気温のピークがずれていることも確認できます。)

10 11 12
気温(度) 5.1 5.3 10.6 13.9 18.6 22.6 24.7 26.7 25.4 18.4 11.8 6.0
南中高度(度)
毎月15日の値
35.6 43.9 54.4 66.3 75.5 80.0 78.3 70.9 60.0 48.5 38.4 33.6

*気温データは1999年佐賀の月平均気温データで、佐賀県教育センター研修1課理科係地学研究室よりいただいたものです。また、南中高度はサン・アースくんで計算した佐賀でのデータです。

 または、子どもたちが、南中高度が変わると気温が変化することを学習した後、気温データの変化とパソコンから出てくる南中高度の値の変化を比較して検証を行うこともできます。

c 太陽の動きと星の動きの推測

 北極星を中心に太陽や星が回転しているということから、太陽の動きを説明し、その応用として、星がどのように動くかを推測させることができます。(世界各地での太陽や星の動きを推測させると子どもたちの興味関心がわくと思われる)

1月 佐賀県 1月 エクアドル(赤道直下) 1月 南極(1日中昼)




(2) 他教科での利用

a 社会科での利用

  ・ 世界各地での南中高度と気温変化
  ・ 白夜になる地域の確認
   ノルウェーの6月21日の状態です。
   日の出が3時1分、日の入りが21時36分であり、白夜の状態を示しています。

 

b 数学科での利用

  ・ 冬至、夏至、や地軸が傾いていない時などの特別な場合の幾何学による南中高度の導出のヒント(数値を見ながら関係式を推測させ、図形を使って証明する。)
   夏至の南中高度=90−緯度+地軸の傾き の式の導出


  冬至の南中高度=90−緯度−地軸の傾き の式の導出


夏至と冬至の南中高度の観測データから地軸の傾きを求めましょう。
  θ(夏至)を夏至の時の南中高度
  θ(冬至)を冬至の時の南中高度
  αを観測地点の緯度
  φを地軸の傾き
としてこれらの間の関係式を求めてみましょう。

夏至 太陽 冬至
θ(夏至)=90°−(α−φ) θ(冬至)=90°−(α+φ)

上図より夏至と冬至では次のような関係式になります。
 θ(夏至)=90°−(α−φ) ・・・・@
 θ(冬至)=90°−(α+φ) ・・・・A

日本語で書くと

 夏至の日の南中高度=90°−(観測地点の緯度−地軸の傾き) ・・・・@’
 冬至の日の南中高度=90°−(観測地点の緯度+地軸の傾き) ・・・・A’

となり、夏至または冬至の日の南中高度と観測地点の緯度を調べ@式またはA式に代入すると地軸の傾きを求めることができます。

また (@−A)÷2 より

 φ={θ(夏至)−θ(冬至)}÷2 ・・・・B

日本語で書くと

地軸の傾き=(夏至の日の南中高度−冬至の日の南中高度)÷2 ・・・・B’

より、夏至の南中高度と冬至の南中高度を観測するだけで地軸の傾きを出すことができます。

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